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公益社団・財団法人の決算のすすめ方記事一覧

[1]決算の手順を踏まえたスケジュール立案

 公益社団・財団法人の決算業務は、「事業報告等にかかる提出書」と「税務申告」とに密接に関連しています。決算業務が難しいのは、これらを含めた決算の手順全体を明らかにしてから行わなければならないところにあります。 具体的な手順は、次のとおり「必ず実施する手続き」(実線部分)と「必要に応じて実施する手続き...

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[2]決算整理の手順

 公益社団・財団法人の決算整理にあたっては、その手順を十分に理解すすめる必要があります。手順を理解せず、これを間違えると、20年基準の決算は適正にはできません。 具体的には、公益目的事業会計、収益事業等会計、法人会計など「会計区分ごと」の収益と費用を確定する前に、まず「法人全体」の収益と費用を確定す...

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@ 経過勘定項目(未収金、未払金等)の計上

 経過勘定項目とは、未収金、未払金、前払金等の項目である。公益法人会計は、原則発生主義で経理することになっているため、現金主義で入出金の都度経理している法人であっても、期末においては発生している未収金、未払金を正しく計上して、発生主義に直す必要があります。 20年基準では、未収金、未払金等は原則とし...

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A 棚卸資産の計上

 棚卸資産とは、出版業を行う場合における書籍のように販売用に保有している在庫のことを指します。棚卸資産は、事業年度開始時の在庫を当年度に全て販売したと考えて仕入高(費用)に計上し、事業年度終了時の在庫については売れ残りであるため仕入高(費用)から除外する処理をしなければなりません。棚卸資産の期末在庫...

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B 減価償却の実施

 減価償却とは、固定資産を使用することに伴い価値が減少するので、規則的に固定資産の期末の価額を減らす手続きです。資産の貸借対照表価額は、その取得価額から減価償却累計額を控除した価額をもって貸借対照表価額とするとされており(20年基準 第2-3(5))、この「減価償却累計額」を本体の取得価額から控除す...

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C 有価証券の期末帳簿価額の算定

満期保有目的の債券がある場合 満期保有目的の債券がある場合で、取得価額と債券金額との差額の性格が金利の調整と認められるときは、償却原価法に基づいて算定された価額をもって貸借対照表価額としなければならない(20年基準 注9)と定められています。国債や地方債などで満期保有目的のものがある場合には、通常、...

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D 引当金の算定

 公益社団・財団法人における引当金は、主に「退職給付引当金」「役員退任慰労引当金」を計上するケースが多く見受けられます。他にも「賞与引当金」「貸倒引当金」を計上していることもあります。 以前の特例民法法人では、「調整引当金」のような名目で、利益が生じた事業年度にその利益を減額するために同額の引当金を...

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E 消費税等の算定と未払計上

 消費税等については、基準期間(通常は当事業年度の前々事業年度)の課税売上高に基づいて当事業年度の申告納税義務があるか否か判断します。つまり基準期間の課税売上高が1,000万円を超える場合に課税事業者になり、当事業年度について消費税等の申告納税義務が生じます。一方、基準期間の課税売上高が1,000万...

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F 共通費用の配賦処理

 以上の@からEまでの手順によって、各々の費用科目の総額が確定したこととなります。 ここからは、「公益目的事業会計」「収益事業等会計」「法人会計」など各会計区分別の損益を計算していくことになります。

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G 他会計振替額の算定

 Fまでの期末整理で各会計区分の収益と費用が確定しますから、収益事業等から公益目的事業への繰入額などの他会計振替額を算定して、計上する仕訳を行います。しかしながら他会計振替額の算定は、「収益事業等がない場合」には算定できない(ゼロになる。)ので、この本項目Gの処理は省略してください(本項目Gは、「収...

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H 法人税等の算定

 公益社団・財団法人は、収益事業等会計の中に法人税法上の収益事業があるときに、法人税等の申告納付手続きが発生します。 かなり多くの公益社団・財団法人は、法人税の課税対象となる事業を行っていません。そのような場合には、本項目Hの処理は不要となります。ただし、都道府県民税及び市町村民税の均等割が課税され...

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I 特定資産の計上

 前記Hまでの決算整理により、正味財産増減計算書及びその内訳表の内容が確定したこととなります。しかしこのままでは、貸借対照表内訳表にマイナスの預金残高があるなど、不適正な決算書となっていることもあります、I及びJにおいては、貸借対照表内訳表の整理が必要な項目を検討します。 とくに収支相償を満たさない...

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J 内部取引勘定の相殺消去等

上記Iまでの過程で作成した貸借対照表及び同内訳表は、同一の会計区分内で内部取引勘定である「他会計短期貸付金」「他会計短期借入金」(「公益目的事業会計」「収益事業等会計」「法人会計」等の表記をする場合を含みます。以下同じ。)が両建て表示になっていたり、現金預金などの一部の科目がマイナスの表示になってい...

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[3] 1)貸借対照表と貸借対照表内訳表の確認

 作成した貸借対照表について、確認すべき主な項目は、次のとおりである。・財産目録と整合しているか。・棚卸資産、減価償却資産、有価証券及び引当金の額が適正か。・貸借対照表における資産、負債、正味財産の項目は総額をもって記載する必要があるが、資産の項目と負債又は正味財産の項目を相殺して一部貸借対照表から...

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2)正味財産増減計算書と正味財産増減計算書内訳表の確認

 作成した正味財産増減計算書について、確認すべき主な項目は、次のとおりです。・公益社団法人の使途の定めのない経費収入(会費、入会金など)については、公益目的事業会計と法人会計とに50%ずつ計上されているか。・使途の定めのない寄附金及び助成金は、全額が公益目的事業会計に計上されているか。・公益目的保有...

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3)財務諸表に対する注記及び附属明細書の確認

 作成した財務諸表に対する注記及び附則明細書について、確認すべき主な項目は、次のとおりです。基本財産又は特定資産がある場合・「基本財産及び特定資産の増減額及びその残高」「基本財産及び特定資産の財源等の内訳」の注記があり、前期末残高及び当期末残高が貸借対照表に記載された額と一致しているか。・附属明細書...

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4)財産目録の確認

 作成した財産目録について、確認すべき主な項目は、次のとおりです。・支部を有する法人は、支部単位で財産目録が作成されているか。・財産目録は会計区分ごとに作成する必要がないので、誤って会計区分ごとに作成していないか。・固定資産については、使用目的の欄にいずれの事業に使用するのか記載しているか。金融資産...

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5)キャッシュフロー計算書の確認

 作成したキャッシュフロー計算書について、確認すべき主な項目は、次のとおりです。・現金及び現金同等物の期首残高及び期末残高は、貸借対照表と一致しているか。・現金及び現金同等物の期首残高及び期末残高は、財務諸表に対する注記に記載された資金の範囲と一致しているか。・キャッシュフロー計算書は会計区分ごとに...

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