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[2]C 有価証券の期末帳簿価額の算定

満期保有目的の債券がある場合

 

 満期保有目的の債券がある場合で、取得価額と債券金額との差額の性格が金利の調整と認められるときは、償却原価法に基づいて算定された価額をもって貸借対照表価額としなければならない(20年基準 注9)と定められています。国債や地方債などで満期保有目的のものがある場合には、通常、次のとおり決算整理を行います。

 

【仕訳例:未償却残額2,000円の基本財産(国債)を残存月数60箇月、当期月数12箇月で償却する。当該国債は、一般正味財産を財源とし、その運用益を公益目的事業の用に供している。】

 

 算式 債券金額と期首償却原価の差額2,000×12÷60=当期償却額400

 

 (公益目的事業会計) (借)基本財産400/(貸)基本財産受取利息400

 

子会社株式又は関連会社株式がある場合

 

 これらの有価証券は原価法が採用されますので、とくに決算整理は行いません。なお公益社団・財団法人は発行済株式の50%を超えて保有することが原則禁止されているので、子会社株式を保有することはないはずです。

 

その他有価証券がある場合

 

 満期保有目的の債券並びに子会社株式及び関連会社株式以外の有価証券(その他有価証券)については、時価法が採用されています。つまり上場株式を保有している場合などは、時価をもって貸借対照表価額とする(20年基準 第2-3(3))こととされています。この場合には、通常次のとおり決算整理を行います。

 

【仕訳例:基本財産(上場株式)の時価評価益500円を計上する。当該株式は、指定正味財産を財源とし、その運用益を公益目的事業の用に供している。】

 

 (公益目的事業会計) (借)基本財産500/(貸)基本財産評価益(指定)500

 

 なお、実務上では、当該有価証券が指定正味財産を財源とする場合に、とくに注意しなければなりません。「満期保有目的の債券がある場合」の償却原価法による利息と収受した利息の計上についても、「その他有価証券がある場合」の評価損益の計上についても、いずれも指定正味財産増減の部の科目を用いて経理する必要があります。