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U−2 資産取得資金を活用する方法

 「資産取得資金を活用する方法」とは、公益目的事業会計の当期経常増減額の計算で生じた剰余金を、将来行なう公益目的事業の設備投資のための資産取得資金を設けることにより、収支相償の第2段階の計算上、資産取得資金積立額を費用として計上する方法です。この方法を採用する場合の注意点は、次のとおりとなります。

 

@理事会等の決議により、資産取得資金の取扱規程を設けなければなりません。当該規程は、認定法施行規則第22条第4項、公益認定等ガイドラインT−8(3)の規定により「取得又は改良の対象」「取得又は改良に必要な最低額」「取崩制限」を記載して備置き、閲覧に供する必要があります。

 

A資産取得資金の取扱規程に基づき、理事会の決議等により資産取得資金を計上します。

 

【仕訳例】
 (特定資産 ソフトウェア取得資金)××× (普通預金)×××

 

B資産取得資金が設けられた趣旨から、決算を承認する理事会において積立を決議することも可能と考えられます。なお認定法施行規則第22条第4項の規定により資産取得資金は他の資金と明確に区分しなければならないとされるが、特定費用準備資金と同様に特定資産として財産目録に表示されればこの要件を満たすとされています。

 

C資産取得資金への積立額は、収支相償の第1段階の計算上は費用として計上できません。収支相償の第2段階で、収益事業等の利益の50%超を繰り入れる場合のみ、費用として計上されます。収益事業等の利益の50%を繰り入れる場合に、公益目的事業会計の当期経常増減額の剰余金を全額積み立てたときは、収支相償の第2段階は満たされているものとして扱われます。

 

 

【制定することが必要な規程の例】
【word】 資産取得資金取扱規程(公益社団)
【word】 資産取得資金取扱規程(公益財団)