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U−1 特定費用準備資金を活用する方法

 「特定費用準備資金を活用する方法」とは、公益目的事業会計の当期経常増減額の計算で生じた剰余金を、将来実施する事業のため、特定費用準備資金を設けて、翌事業年度以後に繰り越すことができるというものです。この方法を採用する場合の注意点は、次のとおりとなります。

 

@理事会等の決議により、特定費用準備資金の取扱規程を設けなければなりません。当該規程は、認定法施行規則第18条第3項第5号、公益認定等ガイドラインT−7(5)の規定により「積立目的」「積立限度額」「取崩制限」を記載して備置き、閲覧に供する必要があります。

 

A特定費用準備資金の取扱規程に基づき、理事会の決議等により特定費用準備資金を計上します。

 

【仕訳例】
 (特定資産 ○○展示会準備資金)××× (普通預金)×××

 

B特定費用準備資金が設けられた趣旨から、決算を承認する理事会等において積立を決議することも可能と考えられます。なお認定法施行規則第18条第3項第2号の規定により特定費用準備資金は他の資金と明確に区分しなければならないとされますが、公益認定等ガイドラインT−7(5)の規定により特定資産として財産目録に表示されればこの要件を満たすこととされています。

 

 

【制定することが必要な規程の例】
【word】 特定費用準備資金取扱規程(公益社団)
【word】 特定費用準備資金取扱規程(公益財団)

 

【積立目的以外の他の公益目的事業への使用】
  実施時期が近づくことに伴う見積もりの精緻化などその目的や性格が変わらない範囲での資金の見直しや当該事業の予期せざる損失への充当を除き、資金の目的である事業の内容の変更として変更認定を受けた場合に、特定費用準備資金を取り崩して他の事業に使用することができます。
  なお公益目的事業で生じた剰余金を積立した特定費用準備資金は、公益認定により認められている公益目的事業にしか使えません。