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[2]G 他会計振替額の算定

 Fまでの期末整理で各会計区分の収益と費用が確定しますから、収益事業等から公益目的事業への繰入額などの他会計振替額を算定して、計上する仕訳を行います。しかしながら他会計振替額の算定は、「収益事業等がない場合」には算定できない(ゼロになる。)ので、この本項目Gの処理は省略してください(本項目Gは、「収益事業等がある場合」の前提となります。)。

 

 認定法第18条の規定により、公益社団・財団法人においては公益目的事業財産を公益目的事業以外の用に供せません。このため、公益目的事業会計に属する財産を、他の会計区分(収益事業等会計、法人会計)への振替して使用するはできないこととなります。

 とくに収益事業等会計から公益目的事業会計への繰り入れは、公益認定を受けた日以後に行った収益事業等から生じた利益の50%を最低でも繰り入れることが義務付けられていますから、収益事業等を「収益事業」と「その他事業(共益事業など)」に区分(公益認定等ガイドラインT−18参照)したうえで、それぞれ次の金額を計算して最低繰入額を算定して、合算額を繰入しなければなりません。

 

A:収益事業からの最低繰入額 =収益事業の利益−按分される管理費×50% (差し引き額が赤字の場合はゼロ)

 

B:その他事業からの最低繰入額=その他事業の利益−按分される管理費×50% (差し引き額が赤字の場合はゼロ)

 

 

【仕訳例:収益事業等から公益目的事業への繰入仕訳】

 

 (公益目的事業会計)(借)現金預金 A+B/(貸)他会計振替額 A+B

 

 (収益事業等会計) (借)他会計振替額 A+B/(貸)現金預金 A+B

 

按分される管理費の算定方法

 按分される管理費の算定に当たっては、とくに法令上の定めはないので、合理的な基準であれば認められます。貸借対照表内訳表及び正味財産増減計算書内訳表の作成と会計処理について(平成23年5月13日 日本公認会計士協会)V−Q11によれば、使用割合や従事割合のほか、事業費比率などを用いた物量基準を用いることが望ましいとされています。

 

<計算例>
 収益事業等に按分される管理費30=管理費100×収益等事業費300/(公益事業費700+収益等事業費300)

収益事業等の利益の50%超を繰り入れる場合

 法人税法上の収益事業を営む法人には、みなし寄附金を増額するためできるだけ増やして節税を図りたいと考える場合、収益事業等から公益目的事業への繰入額を収益事業等の利益の50%超とすることがあります。

 

 この場合には、「収益事業」と「その他事業(共益事業など)」のそれぞれの区分ごとに生じた収益の充当順位が問題となります。次のとおり、50%までの繰入額部分は、いずれの事業区分から充当するか選択不可であるのに対して、50%超の繰入額部分は、いずれの事業区分から充当するか選択ができるので留意していただく必要があります。

 

 なお法人税法との関係で、50%超繰入によって必ず税額が縮小するという判断が、実務上では常に成り立つわけではありません。法人税及び事業税の算定上、「多額の繰越欠損金がある場合」などは、みなし寄附金の多寡にかかわらず、結果的な税額は同一になることも少なからずあります。